ハワイを代表する火山の女神ペレの姉妹であるヒイアカ。
ペレの物語では重要な役割を果たすヒイアカについてご紹介します。
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ヒイアカとは?
ヒイアカ( Hi’iaka )は、ハワイの神話に登場する火山の女神ペレが大切にした妹として知られていることが多いでしょう。
高貴な神様というよりも、私たちの身近に友達として居そうな印象を受けるかもしれません。
ヒイアカの名前と由来
ヒイアカのフルネームは
ヒイアカ・イ・カ・ポリ・オ・ペレ
( Hi‘iaka・i・ka・poli・o・Pele )
この名前は日本語では「ペレの胸に抱かれたヒイアカ」という意味を持ちます。
実はヒイアカは卵の状態で生まれ、ペレが大切に抱いて、卵を温めて孵化させました。
名前はまさにそのままです。
気性の荒いペレが、ヒイアカが卵から出てくるまで胸に抱いていたことを思うと、ペレにとってヒイアカはとても大切な、かわいい妹と言えそうです。
ハワイ語で『 ポリ( poli )』は、胸部、胸、腕などの意味があり、卵なら手の中で温められそうですが、そうではなく赤ちゃんを抱くようにヒイアカの卵を温めたり、しっかり懐に入れていたのかもしれません。
※ペレの脇の下のくぼみに抱かれていたなど、諸説あります。

ヒイアカの家族
ここではヒイアカの母、姉妹、兄弟をみていきましょう。
ヒイアカには兄弟・姉妹はたくさんいるようですが、ここでは神話でメインに登場する神をピックアップしています。
ペレの母 ハウメア( Haumea )
ハウメア( Haumea )は大地の女神とされ、豊穣をもたらし、豊かさを生み出す力を授けてくれます。多くの神を生んでおり、ヒイアカはハウメアの手のひらから卵で生まれました。
ヒイアカの姉 ナーマカオカハイ
ナーマカオカハイ( Nāmakaokahaʻi )は海の女神とされ、水を操ります。ヒイアカとの関係よりもペレとの関係が深く、ペレを執拗に追いかけます。
ヒイアカの姉 ペレ
ペレ( Pele )は火山の女神とされ、まだ卵のヒイアカを連れて旅に出ます。姉妹の中でもヒイアカをとても気に入っていたようです。
ヒイアカの兄 カモホアリイ
カモホアリイ( Kamohoaliʻi )は蒸気の神、またサメの神でもあります。サメに姿を変えることもでき、ヒイアカが力を授かるよう援助した一人です。
ヒイアカの能力
ヒイアカは姉である火山の女神ペレのために旅に出たとき、無事に帰ってこられるよう様々な力を授けられたとされています。
旅の中では巨大なトカゲ、幽霊神、サメなどに行く手を阻まれますが、ペレから得た力を使って困難を乗り越え、その中で自身が元々持つ力を磨いていきます。

授かった力1|魔術
巨大なトカゲを倒したり、死んでしまった人の霊魂を捕まえて、その人の体に戻して生き返らせる、時には姿を変えて人の目を欺くなど、魔術を駆使しました。
授かった力2|先を見通す目
この先に待ち受けるものを予見したり、トカゲが姿をさまざまなものに変化しているのを見抜いたり、大切なものを賭けたゲームで勝利したり、無駄な戦いをせず、戦略的に物事を見ていきました。
元々鋭い直観力があり、この先に起こることなどを感じ取るのが得意でもありました。
授かった力3|治癒力
旅の中でヒイアカはトカゲなど「良くないもの」によって荒れていた土地を癒します。
その土地に住む神々、精霊などへきちんとあいさつ、敬意を表し、土地を正常な状態へ導きました。
実は最初は…
これらの力は最初から授けられたわけではありませんでした。
ヒイアカは待ち受ける敵などと戦うことを思うと怖くなり、旅に出られずにいました。
そこで助けてくれたのが兄であるカモホアリイなどの兄弟や親せきの神々。
ペレが旅に出ていないヒイアカに理由を尋ねると、カモホアリイが「道中で危険な怪物たち出会うことに恐怖を感じていて、ヒイアカは旅に出られない。その危険を回避するための力(マナ)をヒイアカに与えていないでしょう?」とペレに伝えます。
するとペレは「それなら」と言って、必要な力を与えたのです。
ヒイアカとペレ
ヒイアカは、気性が激しいことで有名な姉である火山の女神ペレにとっては大切な妹。
そんな2人はどのような関係を築いていくのか、ヒイアカが旅に出たことがその関係に大きな影響を与えます。
ヒイアカが旅に出た理由
ハワイ島キラウエア山に住むペレが、恋人であるカウアイ島の若い酋長ロヒアウ( Lohi’au )をカウアイ島から連れてきてほしいと姉妹に頼みます。
頼まれた姉妹は危険な旅になることが十分にわかっており、誰もその頼みを引き受けません。そこで白羽の矢が立ったのがヒイアカでした。
ペレは家族の中で一番偉く、さらに自分を育ててくれている姉の頼み、従順なヒイアカは旅に出ることを引き受けました。
そう、ヒイアカはペレからの依頼で旅に出たのです。
ペレとの約束事
この旅を始めるにあたり、ペレとヒイアカには互いに約束をしました。
ペレからヒイアカへの約束
・40日以内に戻る
・途中で抱擁にふけらない
(ロヒアウと恋愛行為をしない)
ヒイアカからペレへの約束
・大切な愛するレフアの森と親友のホーポエを守る
ヒイアカはペレの気性の激しさを知っています。
気に入らないことがあればすぐに炎で燃やそうとするペレのことを見越し、ペレの約束を受ける代わりに自分も条件を出して、自分の大切なものを燃やされないよう予防線を張ったのでした。
守られなかった約束
ヒイアカはハワイ島からカウアイ島には、陸路とカヌーで向かいましたが、所々で巨大なトカゲ、邪悪なトカゲ、襲ってくるサメなどさまざまな敵と出会い、ペレから授かった力を使って退治をしていきます。
困難を乗り越えカウアイ島に着きましたが、その時すでにロヒアウは亡くなっていました。
ペレの願いは「ロヒアウをハワイ島へ連れてくること」
忠誠心があり、従順なヒイアカはその願いを叶えるため、ロヒアウを生き返らせます。
ただ、生き返らせるのに10日かかってしまい、戻る頃には約束の期限である40日は過ぎていました。
帰路につきオアフ島の高地から特殊な力を使いながらハワイ島を見ると、ヒイアカの愛するレフアの森が炎に包まれ、親友のホーポエが溶岩に包まれているのを目にしました。
ヒイアカの献身
自分の愛する者たちが激しい炎に包まれるという惨状を目にしたヒイアカ。
もちろんそれは、姉ペレの仕業であることはわかっています。
それでもヒイアカはロヒアウをペレの元へ届けるため、心を痛めながら旅を続けます。
もう一つの約束である「途中で抱擁にふけらない」を守りながら...
そして2人は対立
ロヒアウをハワイ島まで連れ戻ったヒイアカたち。旅の同行者たちがまずペレに期限に遅れた理由を説明しますが、怒り心頭のペレは聞く耳を持たず、その者たちを焼き殺してしまいます。
自分の大切なレフアの森、親友ホーポエ、同行者たちまでもが炎に包まれ、これまで懸命に任務に尽くしてきたヒイアカも、堪忍袋の緒が切れます。
「途中で抱擁にふけらない」
ペレの目の前でこの約束を破り、ヒイアカはロヒアウと抱擁を交わします。
さらに怒りが増したペレは、ヒイアカとロヒアウにも炎を向けました。
神聖な体を持つヒイアカは炎に包まれても焼けることはなく、ロヒアウだけが焼けて死んでしまいます。
こうして妹を大切にしていた姉ペレと、忠誠を尽くしてきた妹ヒイアカは対立することになったのです。
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ヒイアカは何の神様?
これまでのことからヒイアカは、魔術、治癒、詠唱の神とされています。
それ以外も「フラの女神」として名が挙がります。
ラカ( Laka )、カポ( Kapo )もフラの女神とされていますが、日本でも豊穣の神様がたくさんいらっしゃるようにフラの女神も一人ではなく、ヒイアカもフラの女神の一人です。
ヒイアカとフラ
ヒイアカはフラを親友のホーポエから学びます。
姉であるペレがヒイアカを含めた姉妹たちに「誰か踊ってほしい」と頼みますが、フラの踊り方を知らない姉妹たち。その中でヒイアカが前に出て踊ったそう。
またフラに必要なもののひとつとして「チャント」がありますが、ヒイアカはさまざまなシーンでチャントを唱えます。
ヒイアカの詠唱力
ヒイアカはロヒアウを迎えに行く旅の中で、亡くなった人を生き返らせる、自然を讃える、悲しい気持ちを表すときなどに詠唱(チャントを唱える)しています。
その詠唱の言葉、声、感情には力が宿り、魔術や治癒力の力を増幅できていたのかもしれません。
いろいろな神が讃えられるチャントですが、古代ハワイではチャントは「ヒイアカの名のもとに」とされています。
つまりどのチャントも「ヒイアカのもの」とされているぐらい、チャントとヒイアカは結び付けられています。
フラの儀式においてフラ(舞)も、チャント(詠唱)もどちらも重要で、ヒイアカがフラの女神と言われる由縁かもしれませんね。

ヒイアカの大切なもの
ヒイアカはペレと比べると穏やかで、愛らしくて従順、人で言うなれば人情があります。
そのヒイアカの大切なものは「大親友ホーポエ」と「レフアの森」です。
大切な友人ホーポエ
ヒイアカとホーポエ( Hōpoe )は、ハワイ島ナナフキというビーチで出会います。
ホーポエはプナ地区に住み、古代から伝わる踊りをすべて知っている女性で、ナナフキでフラを踊っているところをヒイアカが見ていました。
ヒイアカはホーポエの踊りに魅了されたのか、友達になりたいと思ったことが2人の始まりです。
そしてホーポエは多くの時間をかけてヒイアカにフラを教えたところ、ヒイアカはその美しい動きを完璧に習得したのだとか。
さらにホーポエはフラだけでなくレイの作り方も教え、2人でレイを編んだり、海で遊んだり、楽しい時間を過ごして、いつしか2人は大親友となりました。
レフアの森
ハワイ島の「島の花」であるオヒアレフア。
このオヒアレフアもペレにまつわるお話がありますが、オヒアは木の部分、レフアは花の部分を表します。
ヒイアカは大親友ホーポエのために、赤と白の花を咲かせるレフアの森を作りました。きっとその森で2人でフラを踊ったり、レイを作ったりしたのでしょう。
楽しい時間を過ごし、幸せな思い出がたくさんあるレフアの森は、ヒイアカだけでなくホーポエにとっても宝物だったのかもしれません。
ちょっと余談
その名は「ヒペリカム・カリシナム」
「セイヨウキンシバイ」とも呼ばれ、雄しべの部分がレフアに似ていると思いました。

こちらは私Manaが道端で出会ったヒペリカム・カリシナム
似ていませんか? レフアに。
まとめ
ヒイアカについてご紹介した内容をまとめましょう。
- 名前
ヒイアカ・イ・カ・ポリ・オ・ペレ
( Hi‘iaka・i・ka・poli・o・Pele ) - 兄弟姉妹
姉:ナーマカオカハイ(海の女神)
姉:ペレ(火山の女神)
兄:カモホアリイ(蒸気、サメの神) - 司るもの
魔術、治癒、詠唱、フラの神
ヒイアカの姉であるペレはとても気性が激しく、少しでも自分の思うようにならないと火の力を使って、すべてを焼き払おうとしますが、ヒイアカは理不尽なことや、非常識と思うことに怒りをあらわにします。
そして相手がどう思うかを想像し、喜んでくれるなら自分を犠牲にしてしまうような一面があります。
神様、女神というよりも、どことなく私たち人間に近い存在に思いますね。
ヒイアカについては以上になりますが、ハワイに行かれた際はヒイアカが愛した花、レフアを探してみてくださいね。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
Mahalo piha !! A hui hou !!
参考文献
Hale Kuamoʻo「 Holo mai ʻo Pele mai Kahiki 」(Hale Kuamoʻo, Ka Haka ʻUla O Keʻelikōlani, Kulanui o Hawaiʻi ma Hilo 2020年)
Martha Warren Beckwith「 Hawaiian mythology 」(Global Press 2020年)
Nathaniel Bright Emerson「 Pele and Hiiaka: A Myth From Hawaii 」(Honolulu Star-Bulletin Limited 1915年、Project Gutenberg)
W. D. Westervelt「 Hawaiian Legends of Volcanoes (mythology) 」(ELLIS PRESS, BOSTON, MASS., U.S.A CONSTABLE & CO., LONDON, G.B.1916年、Project Gutenberg)
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