ハワイ語・神話 フラダンス・歌

Queen's Jubilee クイーンズ・ジュビリー ハワイアンソングの歌詞と訳

ハワイアンソングとして有名な「 Queen's Jubilee 」
フラのイベントでもさまざまなハラウが踊る、フラダンサーに人気の曲です。
それではこの曲にどのような思い、背景があったのか見ていきましょう。
後半には、私 Mana のオリジナル和訳と解説もありますので、そちらも合わせてご覧ください。

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Queen's Jubilee クイーンズ・ジュビリー(ハワイ語&和訳)

Mahalo piha, Mōʻī ʻo ʻEnelani
ありがとう、イングランド国王
Kuʻi kou kaulana nā ʻāina pau
あなたの名声は世界中に広まっています
Na kai ākau nā one hema
北の海から南の海岸まで
ʻIkea kou ʻihi mana nui
あなたの力は明らかです

Eia mākou i kou kapa kai
私たちはあなたの岸に来ました
I kou lā nui Iubilī
あなたの偉大なジュビリーの日に
I hiʻi mai i kou mākou aloha
遠くから優しい挨拶を届ける
Maluna ou ka malu o ka Lani
天の祝福がありますように、長く君臨しますように

Hauʻoliʻoli ʻEmepela o ʻInia
インド皇后万歳、万歳
I kēia makahiki Iubili
ジュビリーの年に
Ākoakoa nā aliʻi ʻaimoku
偉大な王、女王、王子たちは
A puni ke ao holoʻokoʻa
今日は皆ここに集まって
E hi`ilani e mililani
敬意と敬虔な愛を捧げる

Ua hui pūʻia me Hawaiʻi
ハワイは忠誠心を持って参加
E uhi mai ka lani i kona nani
空は彼女の美しさを覆い隠すだろう
E ola ka Mōʻī ke Akua
王なる神よ、万歳

Queen's Jubileeの作られた背景・歴史を解説

歌詞をご覧になっていかがでしたか。
ハワイの事を歌った曲ではなく、イギリス女王のジュビリーに関して歌っている内容で、イギリス女王のすばらしさ、偉大さについて称えていることが伝わってきます。

作者は誰?作曲された時期はいつ?

作者は、ハワイ王国第8代目の王様であるリリウオカラニ女王です。

ビクトリア女王の即位50周年記念式典の際にロンドンで撮影されたハワイのリリウオカラニ女王
By Walery. - Iolani Palace Collections., Public Domain,/ Wikimedia Commons (id=12459438)

1887年、イギリスのヴィクトリア女王の即位50周年のお祝いをするために、ハワイからカピオラニ王妃とリリウオカラニ女王が参加されました。
その祝典に向かう途中の船の中で作られた可能性が高いです。

左から3番目に座るカピオラニ女王と右から3番目に座るリリウオカラニ女王
1887年、ヴィクトリア女王の即位50周年記念式典に出席するためロンドンを訪れた際、スチュワート邸にて撮影
By Unknown author - Hawaii State Archives: PPWD-16-3-029, Public Domain,/ Wikimedia Commons (id=12768790)

リリウオカラニ女王について詳しく

ハワイ王国の最初で唯一の女王リリウオカラニ

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タイトルにある「ジュビリー」とは

「ジュビリー」という言葉はユダヤ教から来ているもので、25年、または50年に1度の周期で行われる記念日、祝祭や祝年を意味します。
25周年はシルバージュビリー50周年はゴールデンジュビリーと呼ばれ、この曲ではヴィクトリア女王の即位50周年なので、ゴールデンジュビリーです。
ちなみにゴールデンジュビリーをハワイ語で言うと「金」は『 gula(グラ)』なので、『 gula Iubilī 』となります。

なぜ英語のタイトル「クイーンズ・ジュビリー」なのか

この部分については私 Mana の推測になりますが、ハワイには「ジュビリー」という行事がそれまでにありません。祝典的なものとして盛大に執り行われたのは、リリウオカラニ女王の兄であるカラカウア王の戴冠式です。

つまり「ジュビリー」は外国の文化であり、この歌はハワイ語で歌われていますが、内容はヴィクトリア女王を祝うものであり、ヴィクトリア女王に敬意を表して「ジュビリー」という英語をそのまま使ったように思います。

そして曲名が「ゴールデン・ジュビリー」ではなく、「クィーンズ・ジュビリー」であることも、ヴィクトリア女王=クィーンを祝うという思いをしっかり表現したかった、さらにタイトルからハワイの事を歌ったのではないと、一目でわかるようにしたかった可能性を感じます。
この曲はハワイからイギリスに向けて、心を込めた外交ソングと呼べそうです。

イギリスに着くまでの道のり

ハワイからイギリスへ向かうには、船でアメリカへ行き、サンフランシスコからニューヨークに向けて陸路で移動し、ニューヨークからはまた船でイギリス、リバプールへ向かいました。

ハワイからイギリスまでの旅路

今でこそハワイからイギリスは飛行機で行けますが、それでもかなりの時間がかかります。
この時はハワイを4月中旬頃に出発し、イギリスには6月初めに到着しています。

一行はアメリカでも温かい歓迎を受け、様々な施設を見学したり、晩餐会などに参加したりしながらイギリスへ向かいました。カピオラニ王妃のドレスが評判で話題になったり、リリウオカラニ女王が作った「アロハ・オエ」をボストンバンドが演奏したりするなど、一行にとって心温まることが多くあったようです。

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Queen's Jubilee クイーンズ・ジュビリー - オリジナル和訳 -

ここからはハワイ語勉強中の Mana が、独自の訳を展開します。
ハワイ語の意味、ゴールデンジュビリーの旅や祝典の様子、そしてインスピレーションで訳していきます。

Mana オリジナル和訳 - Queen's Jubilee クイーンズジュビリー -

Mahalo piha完全な, Mōʻī国王、君主 ʻo ʻEnelaniイギリス
心より感謝いたします イギリスの女王陛下
Kuʻi突き砕く kouあなたの kaulana有名な、名高い nā ʻāinaたくさんの土地 pau全部
あなたのすばらしさは全土に浸透しています
Na kai ākauone砂地 hema
北の海の方から南の陸地まで
ʻIkea知られる kou ʻihi威厳、神聖 mana nui大きい・偉大な
あなたのその偉大なる力は知れ渡っています
Eiaここに mākou私たちは i kou kapa境界 kai
私たちはあなたの傍まで来ました
I kou nui Iubilīジュビリー
あなたの記念すべきすばらしき日を祝うために
I hiʻi mai抱きかかえられる i kou mākou alohaあなたの私たちへの愛
あなたのやさしく大きな愛に包まれる
Maluna高い、高地 ouあなたのもの ka malu保護、隠れ場 o ka Lani天、空
天はあなたを静かに見守っています

Hauʻoliʻoli大きな喜び、祝福 ʻEmepela皇帝 o ʻInia インド
おめでとうございます インドの皇帝
I kēia makahiki今年 Iubili
ゴールデンジュビリーを祝うこの年
ʻĀkoakoa集まるaliʻi酋長 ʻaimoku地域や島の支配者
各国の王や女王など国賓が集まります
A puni取り巻いた ke ao holoʻokoʻa最高、完全な
それは最高の人たちが女王を囲む中で
E hi`ilani称賛する e mililani称賛する
祝福され、讃えられる

Ua hui接合 pūʻia一緒に meともに Hawaiʻi
ハワイも共に祝福します
E uhi mai覆う ka lani i kona彼女の naniすばらしさ
そのすばらしさは天へと通じています
E ola生命 ka Mōʻī ke Akua
神の御許にて、女王陛下が永く栄えますように

単語の上にはその単語が表す意味を記載しています。
複数回使われている単語については2回目以降、および文法的な役割をする言葉については訳を割愛しています。

Mana オリジナル和訳の解説

この「クイーンズ・ジュビリー」はハワイアンソングではあるものの、いつものように自然やハワイの地名などは出てきません。その代わりではありませんが、ハワイ以外の国名、英語を元にしているハワイ語がいくつか出てきます。

そして、ヴィクトリア女王への敬意、女王という存在、祝典に参加した時のリリウオカラニ女王は” 皇太子 ”でしたが、いずれ自身も同じ立場になるリリウオカラニ女王の決意や思いというものが、この曲には込められているように感じられました

初めはヴィクトリア女王への手紙

Mahalo piha, Mōʻī ʻo ʻEnelani
Kuʻi kou kaulana nā ʻāina pau
Na kai ākau nā one hema
ʻIkea kou ʻihi mana nui

「心から感謝いたします、イギリスの女王陛下」という言葉で始まり、ゴールデンジュビリーに招待してもらったことを感謝しているように感じました。
「ありがとう」というハワイ語は『 mahalo:マハロ 』で、通常の「ありがとうございます」なら『 mahalo nui loa:マハロ ヌイ ロア 』という言葉をよく見かけます。しかし、ここで使われている『 piha:ピハ 』は「完全な、十分な」というハワイ語で、心が満たされるような感謝を表しているように感じました。

その後はゴールデンジュビリーの祝典に向かう旅の中で感じたことが綴られているのではないでしょうか。
イギリスへ向かう船の中では同じように祝典に向かう人々に出会ったり、イギリス本土に降り立った瞬間から祝賀ムードに湧いているということが、リリウオカラニ女王著書「 Hawaii's Story by Hawaii's Queen 」に書かれており、国民がヴィクトリア女王を讃えている、ヴィクトリア女王のすばらしさ、偉大さが国民にしっかり伝わっていると感じましたよ、と伝えているようです。

Mana’s point
リリウオカラニ女王自身は1877年に次期ハワイ国王としてオアフ島を巡視しています。その時にどこへ行っても国民から歓迎され、また自身もしっかりと愛を持って応えたという経験があります。
この部分では、ヴィクトリア女王へ自分が感じたことを伝えるだけでなく、自分も女王になった時のイメージをここで重ねたのではないかと思いました。


ビクトリア女王がゴールデンジュビリーの行列で馬車に乗っている様子
By unknow person - https://www.meisterdrucke.ie/fine-art-prints/English-Photographer/326912/Queen-Victoria-(1819-1901)-being-driven-through-central-London-during-her-Golden-Jubilee-celebrations,-1887.html, Public Domain
/ Wikimedia Commons (id=175255419)

アメリカを縦断してイギリスへ

Eia mākou i kou kapa kai
I kou lā nui Iubilī

この曲はアメリカからイギリスへ向かう船の中で書かれたと思われることから、長い旅路でしたが近くまで来たことを表現されています。

「あなたのすばらしい日を祝うために、いつもは遠く離れていますが、手に届くほど近くに来ました」

ヴィクトリア女王に会えることをとても楽しみにしていることが感じられます。
元々イギリスとは良い関係を築いていたハワイですが、ひとつの国として認めてもらえ、招かれたということは、リリウオカラニ女王にとってはとても誇らしく、喜ばしいことだったように感じます。

ここでは「 Jubilee 」という言葉をハワイ語にして、『 Iubilī:イウビリー 』としています。
ジュビリー自体が外国の文化であるため、元々ハワイ語としてはありませんでしたが、ハワイ語として表現するのであれば、音を似せて『 Iubilī 』となったようです。

aloha
aloha
「イウビリー」発音してみるとたしかに似てるわ

Mana’s point
ジュビリーのハワイ語が『 Iubilī 』ということに違和感があります。
ハワイ語では通常アルファベットの「 B 」は使用しません。「 bi 」という音であれば「 wi 」で表現するのが一般的なハワイ語への変換です。
それではなぜ「 bi 」としたのでしょうか。

おそらく、起源がハワイ文化のものではないということを表現するためではないかと思います。そしてその裏には、リリウオカラニ女王自身が国王として25年、50年というジュビリーを迎えたら、自身も同じように祝典を開こうと思っていたのではないか…そのような推測に至りました。

ヴィクトリア女王の大きな愛と神

I hiʻi mai i kou mākou aloha
Maluna ou ka malu o ka Lani

『 hiʻi:ヒイ 』は「腕の中に抱きかかえる」という意味を持ち、それが話し手の方へ向かってくることを表す『 mai:マイ 』と組み合わさっています。
さらに『 kou mākou aloha 』は「あなたの私たちへの愛」ということから、ヴィクトリア女王の自分たちに向けられた大きな愛に包まれているという表現であり、まるで赤ちゃんがお母さんに抱きかかえられているような安心できる心地よさを、リリウオカラニ女王は感じたのではないでしょうか。

そして『 Maluna ou ka malu o ka Lani 』は直訳すると「天はあなたの上を保護しています」となります。多くの人を守るヴィクトリア女王に対し、「あなたのことはちゃんと神が守っていますよ」というメッセージになっているようですね。

Mana’s point
ゴールデンジュビリーの祝典では、遠くから出席してくれたハワイに対し、ヴィクトリア女王のおもてなしがすばらしいものだったとリリウオカラニ女王は残しています。それは他国の国賓よりも良い扱いを受けたと感じたからです。
ハワイという国をしっかりと認め丁寧な対応をしてもらえたことに大きな感謝をしているように感じます

そして当時のハワイでは、国王は神に近しい存在であり、リリウオカラニ女王はヴィクトリア女王のこともそのように思っていたのではないでしょうか。
国民や多くの人に愛を贈り、それができるのは神が国王の傍にいるからという思いがにじみ出ているようです。

ゴールデンジュビリーの祝典の様子

Hauʻoliʻoli ʻEmepela o ʻInia
I kēia makahiki Iubili
ʻĀkoakoa nā aliʻi ʻaimoku
A puni ke ao holoʻokoʻa
E hi`ilani e mililani

このパートではゴールデンジュビリーの祝典の様子が表現されているようです。
ヴィクトリア女王は1876年にインドの女帝として即位していますのでここでは「イギリスの女王」という表現ではなく、「インドの皇帝」としています。
そしていろいろな国の支配者=国の統治者なので、王様や王妃が各国お祝いに駆けつけている様子が表されています。集まった国賓のみなさまは、どなたもきらびやかな装飾品や装いで、内からも外からも光り輝くことが想像できます。

このパートでは「国王」を表す『 Mōʻī:モーイ 』ではなく、『 ʻEmepela:エメペラ 』が使われています。『 ʻEmepela 』は英語の「 Emperor 」が語源となっており、「皇帝」を意味します。
曲の最初の『 Mōʻī ʻo ʻEnelani(イギリスの女王陛下)』に対し、『 ʻEmepela o ʻInia(インドの皇帝)』というのは、「国王」と「皇帝」では意味合いが違うことハワイとは違う文化であるため正しく表現をされたのではないでしょうか

そのヴィクトリア女王を多くの国賓が祝い、敬意を払って、称賛していることを『 hi`ilani:ヒイラニ(称賛する)』、『 mililani:ミリラニ(称賛する)』の同じ意味を持つ言葉を重ねて使っていることから、皆が立ち上がり、ヴィクトリア女王を笑顔で見つめ拍手しているようなイメージがあり、盛大にお祝いされた様子が伝わってきます。

1887年、ヴィクトリア女王のゴールデンジュビリーを祝うバッキンガム宮殿でのガーデンパーティー
By Frederick Sargent - https://www.rct.uk/collection/407255/the-garden-party-at-buckingham-palace-20-june-1887, Public Domain,/ Wikimedia Commons (id=91210771)

Mana’s point
『 A puni ke ao holoʻokoʻa 』を直訳すると「最高の光が取り巻く中で」となりますが、この「光」というのは2つあるように思います。

まず1つ目が各国の国王や王妃が集まっていますので、それぞれの方の内から発するエネルギーというものが、光輝いていることを表しているのではないでしょうか。

そして2つ目は、その装いに多くの宝石など光り輝くものがたくさん使われていたので、リリウオカラニ女王にはそれらがまぶしく見えたのではないでしょうか。
リリウオカラニ女王著書の「 Hawaii's Story by Hawaii's Queen 」では、そのことが記されています。

"I have never seen such a grand display of valuable gems in my life. There was such a profusion of brilliant and handsome jewels before my eyes, that to compute its worth would be to lose one’s self in a maze of confusing calculation."(Liliuokalani,CHAPTER 24, THE RECEPTION AT THE FOREIGN OFFICE,para3)

[人生でこれほど豪華な宝石の展示は見たことがありません。目の前には、あまりにも美しく輝く宝石が溢れかえっており、その価値を算定しようとすると、まるで計算の迷路に迷い込んでしまいそうです。](Mana訳)

この文章からも読み取れるように、光に照らされた宝石がキラキラとまばゆく輝いていたのでしょう。

歌詞に戻り、その後に続く『 E hi`ilani e mililani 』は直訳では「称賛します、称賛します」となりますが、その称賛には雰囲気の違いがあるようです。
『 hi`ilani 』は、主人を敬うような「尊敬の心」が込められている言葉です。日本語で言うとすれば「尊敬します」という言葉になりそうですね。
『 mililani 』は、憧れや人気者のような「親近感のある好意」が寄せられている言葉です。日本語なら「おめでとう!」というような気持ちでしょうか。
いずれも「人の功績を祝う」意味を持ちますが、少しニュアンスが違っていることを意識したいポイントです。

ハワイの次期国王としての思い

Ua hui pūʻia me Hawaiʻi
E uhi mai ka lani i kona nani
E ola ka Mōʻī ke Akua

このパートは、ゴールデンジュビリーの祝典に参加したリリウオカラニ女王の心の中の思いが表現されているようです。
参加した多くの国の国賓が祝福する、友好関係にあるイギリスの女王の祝典にハワイ王国の1人として心を寄せ、「ハワイも共にお祝いし、心も共にあります」そんなメッセージを感じます。

そして『 E uhi mai ka lani i kona nani 』は直訳すると「彼女のすばらしさは天を覆います」となります。
ハワイアンソングをよく聞く方や、フラダンスをされている方ならよく耳にする『 nani:ナニ 』は「美しさ」と訳されることが多いのですが、「すばらしい」、「すてきな」という意味もあり、ヴィクトリア女王の統治する才能はもちろんのこと、人を大切にする能力など、人としての魅力も全てをまとめて『 kona nani:コナ ナニ 』と表現したのではないでしょうか。

最後の『 E ola ka Mōʻī ke Akua 』はハワイらしい要素がギュッと込められています
古代ハワイから王や酋長など最高位であるアリイ・ヌイ( ali’i nui )と呼ばれる人たちは、強力なマナ( mana )を持ち、神に通ずる、近しい存在とされています。
この一節は「神によって王の生命は続いていく」という意味合いになりますが、王の生命が続くというのは「国」も続いていくことを意味にしているようにも感じます。
そしてそれは、「神の力があるからこそ」ということになるのでしょう。

Mana’s point
リリウオカラニ女王がゴールデンジュビリーの祝典に際し経験したこと、感じたこと、考えたこと、ハワイや人を愛する人柄ということがよくわかる部分です。
ヴィクトリア女王からのおもてなしに感銘を受け、「ハワイはイギリスを信頼し、この先も共に進みます」という、心をピッタリと寄り添わせていることが伝わってきました。

ハワイでは国王や酋長は「神から分け与えられた霊力( mana )」を持っており、下層の民にとっては大変恐れ多い存在でした。その国王や酋長は土地を守り、また土地も神の所有物という考え方があるハワイでは、
神、国王・酋長、土地が同義に等しいもの
でした。

特に古代ハワイではアフプアア( ahupua’a )という土地ごとの区画があり、それぞれに酋長がいました。その酋長たちは自分の土地に住む民を守る責任( kuleana:クレアナ )があり、その責務を全うできない、例えば民が飢餓状態になってしまった場合などは、その酋長に霊力( mana )がなくなってしまった、もう神とは通じていないと思われる状態でした。

ハワイアンであるリリウオカラニ女王から見たヴィクトリア女王は民を守り、しっかりと支持も得ていることから、神と通じているのはもちろんのこと、神も認めるすばらしさと思ったのでしょうね。

ゴールデンジュビリーの祝典の途中には、神に祈りを捧げている時に窓から差し込んだ光が頭上を照らしているのを見たとリリウオカラニ女王は残しており、まさに神と一体になっているその強力な霊力( mana )を持つヴィクトリア女王に守られたイギリスはこれからも栄える、そんな風に感じたのではないでしょうか。

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名曲「Queen's Jubilee クイーンズ・ジュビリー」から見えるもの

最後に曲を解釈するにあたり、 Mana はいくつか感じたことがありました。
リリウオカラニ女王はゴールデンジュビリーの祝典という行事を、自分自身とハワイという国を重ね合わせて見ていたように感じます。
そしてそんな体験ができるかもしれないとカラカウア王は思っていて、リリウオカラニ女王に声を掛けたのかもしれません。

「女王」としての思い・決意

作者であるリリウオカラニ女王は、作った時はまだ国王ではありませんでしたが、第7代ハワイ国王であり、兄であるカラカウア王から後継者指名を受けており、いずれハワイ国王の座に就く人です。
ヴィクトリア女王の姿を未来の自分に重ねていた、と言っても過言ではないでしょう。

ハワイアンへの愛、ハワイを良くしたいという気持ちがあり、それは国内だけを盛り上げる、保護するだけではなく、世界からも認められる、調和していくことの重要性を改めて認識されたように感じられました。
きっと自身も国王になった後、しっかりとその役割を果たし、在位25周年のシルバージュビリーの式典をイメージされていたのではないでしょうか。

「神」への思い

ゴールデンジュビリーの祝典の際、窓から光が差し込んで頭上を照らしたのを見た時、カラカウア王の戴冠式でも同じような光景があり、「神からの祝福」をここでも認識します。
女王も国王も強力な霊力( mana )があるからこそリーダーになり、民を守ることができるのかもしれませんが、神と通じている、神がそばに居るからこそそれができる
リリウオカラニ女王は自分の力を過信せず、神のご加護があるからこそという神への信仰が感じられました。

リリウオカラニ女王の感情の豊かさ

このゴールデンジュビリーの祝典の参加に際し、出発まであまり日がない中でカピオラニ王妃への同行を、カラカウア王から打診を受けたリリウオカラニ女王。その思いがけないお話に心を躍らせ、出発の準備をしました。
アメリカに入った時点でイギリスからの歓迎のセレモニーがあったり、同じように祝典に参加する人に出会ったり、イギリスへの思いが膨らんでいったように感じます。

そしてイギリスに入ると国民から愛され、自身も国民を愛し、諸外国への愛も惜しみなく出されるヴィクトリア女王に感銘を受けたことでしょう。その感受性が高いリリウオカラニ女王だからこそ、この曲が生まれたように思います。

逆に言うと、感受性が高いからこそさまざまな思いが溢れ、それが「歌」に繋がっているように感じます。
またハワイアンとしてのアイデンティティが、ハワイアンソングやフラと密接に繋がっているので、きっと歌を作ろうと思って作るのではなく、自然と頭に浮かぶのではないでしょうか。

この曲で踊られるフラダンサーのみなさまには、ぜひ、リリウオカラニ女王の思いを受け取っていただけたらと思います。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。
Mahalo nui loa!! A hui hou!!

参考文献

 Liliuokalani「Hawaii's Story by Hawaii's Queen(1898)」[Rakuten kobo](Arcadia Press 2016年)
 James W.L.McGuire「He moolelo pokole no ka huakai a ka Moiwahine Kapiolani, ame ke Kamaliiwahine Liliuokalani i ka iubile o ka Moiwahine Victoria o Beretania Nui」(Honolulu 1938年,Printed by Collegiate Press)

ハワイ語の発音・読み方について

ハワイ語には「❛(オキナ)」と呼ばれる声門閉鎖音と「-(カハコー)」と呼ばれる長音が記号で記されています。本ページでの読み方はカハコーのみ長音で表現していますが、耳なじみがある読み方を優先し、省略したりしています。

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